既存住宅状況調査委任契約約款
2019年1月1日改定
(総則)
第1条 この既存住宅状況調査委任契約約款(以下「本約款」という。)は、委任者及び受任者が、既存住宅状況調査を行うにあたり締結する契約(以下「本契約」という。)について必要な事項を定める。
2 委任者及び受任者は、日本国の法令等を遵守し、互いに協力し、信義を守り、誠実にこの契約を履行する。
(用語の定義)
第2条 本約款において「調査」とは、既存住宅状況調査技術者講習登録規程(平成29年国土交通省告示第81号。以下「講習登録規程」という。)第2条第4項に規定する既存住宅状況調査をいう。
2 本約款において「既存住宅状況調査技術者」とは、講習登録規程第2条第5項に規定する既存住宅状況調査技術者をいう。
3 本約款において、「既存住宅売買瑕疵保険」とは、特定住宅瑕疵担保責任の履行に関する法律(平成19年法律第66号)に基づき指定された住宅瑕疵担保責任保険法人が業務として行う既存住宅の売買に係る住宅瑕疵担保責任保険契約をいう。
(契約の目的及び範囲)
第3条 受任者は、本約款、添付の見積書、事前打合せシート等に基づいて、調査を実施して調査結果を書面により委任者に報告し、委任者と受任者は当該報告内容を確認するものとし、委任者は、当該調査に係る手数料(以下「調査手数料」という。)の支払いを完了するものとする。
2 受任者は、既存住宅状況調査技術者に既存住宅状況調査方法基準(平成29年国土交通省告示第82号。以下「調査方法基準」という。)に基づく調査を行わせるものとする。
(委任者が受任者に開示する調査を実施しようとする住宅の基本的情報)
第4条 委任者は、受任者に対して、調査を実施しようとする住宅(以下「調査対象住宅」という。)の以下(1)から(6)までの基本的情報を書面により提出する。
(1)調査対象住宅の所在地
(2)調査実施を希望する期間
(3)委任者の氏名、住所及び連絡先
(4)調査実施時に受任者と立会う者の氏名及び連絡先
(5)受任者が調査を実施するために必要な上記以外の事項
(6)既存住宅売買瑕疵保険への加入の希望に関する事項
2 調査対象住宅の所有者及び居住者が委任者と異なる場合には、委任者は、調査の実施前に当該所有者及び居住者から調査について承諾を得て、その書面を受任者に提出するものとし、委任者が当該書面を提出できない場合には、受任者は調査を実施しないものとする。
(打合せどおりの調査が困難な場合)
第5条 調査の実施にあたり、住宅の建て方(隣家等との距離)、床下・小屋裏点検口が無い場合、容易に移動させられない家具等ある場合または積雪時など通常の事前調査では予測不可能な状況により、打合せどおりの調査が不可能もしくは不適切であった場合は、委任者が受任者と協議して、実情に適するように調査内容を変更し、または調査を中止する。
2 前項において、調査機関、調査手数料を変更する必要があるときは、委任者と受任者が協議してこれを定める。
(調査結果の扱い)
第6条 受任者は、委任者の意向または調査結果にかかわらず、本契約における以下の判定または保証は一切実施しない。
(1)調査対象住宅の瑕疵の有無の判定
(2)調査対象住宅に瑕疵がないことの保証
(3)建築基準関係法令等への適合性の判定
(4)調査対象住宅が、既存住宅売買瑕疵保険契約の対象となることの保証
(5)調査結果報告書の記載内容について、調査完了時点からの時間経過による変化または経年劣化がないことの保証
(調査対象住宅の売買等)
第7条 委任者は、調査対象住宅の売買、交換又は賃借(以下「売買等」という。)を行う場合には、調査結果に関する書面を、当該売買等に係る宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条の規定による重要事項の説明等(以下「重要事項説明等」という。)に用いるため、当該売買等を媒介する宅地建物取引業者に提供するものとする。
2 受任者は、調査を実施した日から1年以内に調査対象住宅の売買等が行われる場合において、重要事項説明等を補足する目的で、委任者又はその承諾を得た者から調査結果の再説明に関する依頼があった場合には、誠実に対応するものとする。
(一括委任及び一括下請負の禁止)
第8条 あらかじめ委任者の書面による承諾を得た場合を除き、受任者は受任者の責任において、調査の全部または大部分を一括して受任者の指定する者に委任又は請負わせることができない。
(権利及び義務などの譲渡の禁止)
第9条 委任者及び受任者は相手方からの書面による承諾を得なければ、この契約から生ずる権利または義務を第三者に譲渡することまたは継承させることはできない。
2 受任者は委任者からの書面による承諾を得なければ、調査報告書、建物状況調査の結果の概要及び調査を行ううえで得られた記録等を第三者に譲渡することもしくは貸与することはできない。
(調査結果の保管)
第10条 受任者は、調査結果を調査を実施した日から1年を経過する日まで保管するものとする。
(秘密の保持)
第11条 受任者は、調査を行う上で知り得た委任者の秘密および個人情報を第三者に漏らしてはならない。
2 受任者は、第7条第2項の再説明を行う場合を除き、委任者の承諾なく、調査報告書、建物状況調査の結果の概要及び調査を行う上で得られた記録等を第三者に閲覧または謄写させてはならない。
(完了確認及び調査手数料の支払い)
第12条 受任者が調査を完了したときは、調査結果を書面により委任者に報告し、委任者と受任者は契約の目的物を確認し、委任者は既存住宅状況調査委任契約書記載の期日までに調査手数料の支払いを完了する。
(貸与品等の扱い)
第13条 委任者よりの貸与品等がある場合には、その受け渡し期日および受け渡し場所は委任者と受任者の協議の上決定する。2 受任者は、貸与品を善良なる管理者として使用または保管する。
(第三者への損害及び第三者との協議)
第14条 調査のため、第三者に損害を及ぼしたときまたは紛議を生じたときは、委任者と受任者が協力して処理解決にあたるものとする。
2 前項に要した費用は、受任者の責めに帰すべき事由による場合には、受任者の負担とする。なお、委任者の責めに帰すべき事由による場合には、委任者の負担とする。
(不可抗力による損害)
第15条 天災その他自然的または人為的事象であって、委任者及び受任者のいずれの責めに帰すことのできない事由(以下「不可抗力」という。)によって調査を完了できなくなったときは、受任者は委任者にすみやかにその状況を通知する。
2 前項の場合に生じた損害について、委任者及び受任者が協議のうえ負担方法及び負担の割合を定める。
(瑕疵がある場合の責任)
第16条 調査結果または報告書の内容に瑕疵があり、これにより委任者に損害が生じた場合は、受任者は損害賠償責任を負う。ただし、その瑕疵が、受任者の責に帰することができない事由によるものであるときおよび第6条に規定する事故に起因する損害は、この限りではない。
2 前項の損害賠償責任に係る賠償額の上限は、調査手数料の1倍相当または前項の瑕疵に起因して調査対象住宅の修補等に要した額の50%のいずれか低いほうの額とする。
(調査内容の変更、一時中止または調査期間の変更)
第17条 委任者は、必要によって調査を追加、変更または一時中止することができる。
2 前項により、受任者に損害を及ぼしたときは、受任者は委任者に対してその補償を求めることができる。
3 受任者は、不可抗力その他正当な理由があるときは、委任者に対してその理由を明示して、調査期間の延長を求めることができる。延長日数は、委任者と受任者が協議して定める。
(遅延損害金)
第18条 委任者が調査手数料の支払いを完了しないときは、受任者は遅滞日数の1日につき、支払遅滞額に年14.6%(利息制限法の規定により上限14.6%)の割合を乗じた額の違約金を請求することができる。
2 受任者の責めに帰すべき事由により、調査予定期間内に調査を完了できないときは、委任者は遅滞日数の1日につき、調査手数料から調査実施済部分に対する調査手数料相当額を控除した額に年14.6%(利息制限法の規定により上限14.6%)の割合を乗じた額の違約金を請求することができる。
(反社会的勢力の排除)
第19条 委任者と受任者は、相手方に次の各号の一つにあたるときは、何らの催告を要することなく書面をもってこの契約を解除することができる。
(1)役員等(委任者または受任者が個人である場合にはその者を、委任者または受任者が法人である場合にはその役員またはその支店もしくは事務所の代表者をいう。以下この号において同じ。)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号に規定する暴力団員(以下この項において「暴力団員」という。)であると認められるとき。
(2)暴力団(暴力団員に不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)または暴力団員が経営に実質的に関与していると認められるとき。
(3)役員等が暴力団または暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められるとき。
2 この場合解除した者は相手方に対して損害の賠償を請求することができる。
(解除権の行使)
第20条 委任者は、次の各号の一に該当するときは、受任者に書面をもって通知してこの契約を解除することができる。
(1)受任者の責に帰すべき事由により、履行期限内に設計調査業務が完了しないと明らかに認められるとき。
(2)受任者の責に帰すべき事由により、この契約に定める協議が成立しないとき。
(3)受任者の責に帰すべき事由により、受任者がこの契約に違反し、委任者が相当期間を定めて催告してもその違反が是正されないとき。
(4)前各号の他、受任者の責に帰すべき事由により、この契約を維持することが相当でないと認められるとき。
2 受任者は、次の各号の一に該当するときは、委任者に書面をもって通知してこの契約を解除することができる。
(1)委任者の責に帰すべき事由により、この契約に定める協議が成立しないとき。
(2)委任者の責に帰すべき事由により、委任者がこの契約に違反し、受任者が相当期間を定めて催告してもその違反が是正されないとき。
(3)前各号の他、委任者の責に帰すべき事由により、この契約を維持することが相当でないと認められるとき。
(紛争の解決)
第21条 本契約について、紛争が生じたときは、横浜地方裁判所を第一審管轄裁判所とし、または裁判外の紛争処理機関によって、その解決を図るものとする。
(補則)
第22条 この契約書に定めのない事項については、必要に応じ、委任者と受任者が誠意をもって協議して定める。